証券会社のリテール営業から転職を考えるときに重要なのは、「証券営業を辞めたい」とひとくくりに考えないことです。
転職理由が、全国転勤なのか、会社の評価制度なのか、年収の見通しなのか、営業スタイルへの違和感なのかによって、選ぶべき転職先は大きく変わります。
たとえば、証券営業そのものは好きだが転勤が難しい場合は、同業他社・IFA・ウェルスマネジメント領域が候補になります。一方で、証券業界を離れて金融の専門性を広げたい場合は、銀行・信託銀行・保険・不動産・M&A・運用会社なども選択肢になります。
金融業界そのものを離れたい場合でも、証券会社で培った新規開拓力、富裕層対応、目標達成力、コンプライアンス意識は、コンサルティング、SaaS、FinTech、事業会社の営業・事業開発などで評価される可能性があります。
この記事では、証券会社のリテール営業が転職を考える主な理由、市場価値の見られ方、転職先の候補、転職活動を進める際の注意点を整理して解説します。
\証券会社出身のエージェントが担当!/
証券会社のリテール営業が転職を考える主な理由|転勤・評価制度・顧客本位のズレ
証券会社のリテール営業を取り巻く環境は、ここ数年で大きく変化しています。
以前は、証券会社のリテール営業の悩みとして、次のような内容が多く見られました。
- 年収は高いがノルマが厳しい
- 営業成績が出ず、業界を変えたい
- より顧客本位の営業がしたい
現在もこれらの悩みがなくなったわけではありません。ただし、金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」や、リスク性金融商品の販売・管理態勢に関するモニタリングなどにより、営業現場で求められる行動や評価軸は変わってきています。
2024事務年度の金融庁モニタリングでは、外国株式、ファンドラップ、仕組債、外貨建債券、投資信託など幅広い金融商品について、プロダクトガバナンス態勢や販売・管理態勢等が確認されています。
その結果、近年は「ノルマが厳しいから辞めたい」という単純な悩みだけでなく、会社方針の変化、全国転勤、年収の見通し、顧客との関係性の持ち方に悩む人が増えています。
会社の方針・評価制度の変化に納得できない
証券会社では、フロー収益中心の営業から、預かり資産・残高ベース収益・顧客満足度・顧客の運用成果などを重視する方向へ変化している会社があります。
この変化自体は、顧客本位の営業や長期的な資産形成支援という観点では自然な流れです。実際に、資産管理型ビジネスへの転換や、NPS(顧客推奨度)を評価・改善に取り入れる動きも見られます。
一方で、現場で働く人から見ると、次のような不満が出やすくなります。
- 収益目標や評価項目が頻繁に変わり、何を頑張れば評価されるのか分かりにくい
- 富裕層営業を希望していたのに、担当顧客セグメントが希望と合わない
- 顧客対応以外の社内業務・管理業務が増え、営業に集中しづらい
- 収益実績だけでは評価されず、社内での立ち位置が変わった
方針転換そのものが悪いわけではありません。しかし、自分が望む営業スタイルやキャリアと会社の方向性が大きくずれている場合は、社内異動だけで解決できるのか、転職で環境を変えるべきなのかを考える必要があります。
全国転勤を受け入れにくくなっている
全国転勤への考え方も大きく変わっています。
以前は、全国転勤を前提に入社し、複数の支店を経験しながら支店長や役員を目指すキャリアが一般的でした。しかし現在は、共働き世帯の増加、子育て・介護、パートナーのキャリア、住宅購入などにより、一方だけが全国転勤を続けることが現実的に難しいケースが増えています。
内閣府の令和7年版男女共同参画白書では、2024年時点で共働き世帯数が専業主婦世帯数の3倍以上になっているとされています。全国転勤の悩みは「転勤が嫌」という感情だけではなく、生活設計上「転勤できない」という問題に近くなっています。
また、全国転勤は顧客との関係性にも影響します。ゴールベースアプローチやライフプランニングを通じて顧客の長期計画を立てても、数年で担当が変われば、計画の実行まで伴走し続けることが難しくなります。
顧客と長く関わりたい人ほど、転勤制度に疑問を持ちやすいと言えるでしょう。
年収・賞与・福利厚生の見通しに不安がある
証券会社は、金融業界の中でも比較的高い給与水準にあることが多い一方で、年収の見通しに不安を持つ人も少なくありません。
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、金融業・保険業の一般労働者の賃金は男女計で月410.6千円とされており、産業別に見ても高い水準にあります。ただし、これは金融業・保険業全体の数値であり、証券会社のリテール営業だけの年収を示すものではありません。
また、「証券会社の年収が全体的に下がっている」と一括りに断定するのも適切ではありません。会社、部署、職種、評価制度、賞与水準、住宅補助、残業代、インセンティブ設計によって大きく異なります。
特に注意したいのは、年収を比較するときに基本給だけで判断しないことです。転職時には、次の項目まで確認する必要があります。
- 基本給
- 賞与の算定方法
- インセンティブの有無
- 住宅補助・社宅制度
- 残業代・みなし残業の扱い
- 退職金制度・企業型確定拠出年金
- 地域限定職と全国転勤職の給与差
転職によって転勤や働き方の悩みが解消されても、年収が大きく下がると別の不満が生まれます。逆に、年収だけを優先して転職すると、営業スタイルや労働環境が合わずに後悔する可能性もあります。
顧客本位の営業を続けたいが、現在の環境では難しい
証券会社の営業現場では、以前より顧客本位の提案が重視されています。しかし、実際の働き方や評価制度は会社・支店・部署によって差があります。
「顧客の資産全体を見たい」「短期的な売買より長期的な資産形成を支援したい」「数年で担当が変わるのではなく長く伴走したい」と考える人にとっては、現在の環境が合わないと感じることがあります。
この場合、転職先は単に「年収が高い会社」ではなく、顧客との関係性をどう築けるか、提案できる商品・サービスの幅はどうか、評価制度が自分の営業観に合っているかを確認することが重要です。
悩み別に見る証券会社からの転職先の考え方
証券会社からの転職は、悩みの原因を分解すると選択肢が見えやすくなります。
まずは、次の表で「何を解決したいのか」と「向きやすい転職先」を整理しましょう。
| 主な悩み | 転職前に確認すべきこと | 向きやすい選択肢 |
|---|---|---|
| 全国転勤が難しい | 地域限定職への転換余地、転勤なし求人の給与差 | 同業他社、IFA、地域金融機関、地方案件のある金融職 |
| 証券営業は好きだが会社方針が合わない | 顧客セグメント、評価制度、営業スタイル | ウェルスマネジメント、PB、IFA、同業他社 |
| 年収の上限を上げたい | 固定給と歩合の比率、成果報酬の変動幅 | IFA、外資系PB、不動産、M&A仲介 |
| 金融の専門性を広げたい | 学びたい領域が金融資産・不動産・自社株のどれか | 銀行、信託銀行、保険、運用会社、リース、不動産 |
| 金融業界を離れたい | 年齢、職種転換の可否、営業経験の再現性 | コンサル、ベンチャー、SaaS、営業企画、事業開発 |
転職先を選ぶ前に、まずは「今の不満が、会社の問題なのか、業界の問題なのか、自分の今後のキャリア観とのズレなのか」を整理することが大切です。
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証券会社勤務者の転職市場での価値は?評価される経験と伝え方
証券会社のリテール営業経験は、転職市場で評価される要素があります。ただし、単に「証券会社で働いていた」というだけでは不十分です。
転職市場で評価されるのは、営業力、専門性、成果の再現性、顧客対応力、コンプライアンス意識などを具体的に説明できる人です。
証券会社勤務者が評価されやすいスキル
証券会社のリテール営業経験者が評価されやすいスキルには、次のようなものがあります。
- 新規開拓力
- 富裕層・経営者への提案経験
- 相場や金融商品に関する知識
- 顧客のリスク許容度やライフプランを踏まえた提案力
- 数字目標に対する実行力
- コンプライアンスを守りながら成果を出す力
- 社内外の関係者を巻き込む調整力
特に金融業界内の転職では、富裕層ビジネスの経験、預かり資産の増加実績、資産導入実績、法人オーナーや経営者への提案経験が評価されやすい傾向にあります。
ウェルスマネジメントやプライベートバンク領域では、金融資産だけでなく、不動産、自社株、相続、事業承継などを含めたバランスシート全体の理解が求められます。
単に投資信託や株式を販売した経験だけでなく、顧客の資産全体を把握し、課題に応じて提案した経験があると強みになります。
職務経歴書では「絶対数字」と「相対評価」を両方書く
証券会社から転職する場合、職務経歴書では成果を具体的に示すことが重要です。
「営業を頑張った」「顧客本位の提案をした」だけでは、採用側は実力を判断しづらいです。次のような数字を整理しておきましょう。
- 預かり資産残高
- 資産導入額
- 年間収益
- 新規開拓件数
- 担当顧客数
- 富裕層・法人オーナーの担当経験
- 同期内順位・支店内順位・表彰歴
- 目標達成率
数字を書くときは、単に「資産導入〇億円」と記載するだけでなく、対象期間、担当顧客層、支店内順位、母数、目標達成率まで整理すると伝わりやすくなります。
異業種への転職では、金融知識そのものよりも「高い目標に対して、どのように行動し、どのように成果を出したか」が見られます。
そのため、数字だけでなく、課題設定、行動量、顧客への提案プロセス、改善した工夫まで説明できるようにしておくとよいでしょう。
資格は「転職先との関連性」が重要
証券会社からの転職では、資格の数よりも、転職先で活かせる専門性があるかが見られます。
たとえば、日商簿記2級や宅地建物取引士は、法人営業、不動産、M&A、事業承継領域で評価されやすい資格です。CFP®やCMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)は、資産運用やウェルスマネジメント領域で専門性を示しやすい資格です。
| 資格・知識 | 活きやすい転職先 | 補足 |
|---|---|---|
| CFP®・FP関連 | IFA、ウェルスマネジメント、保険、相続・資産承継 | 顧客の家計・資産全体を見たい人と相性がよい |
| CMA・証券アナリスト | 運用会社、金融機関向け営業、投資関連職 | 市場・分析への関心を示しやすい |
| 日商簿記2級 | 法人営業、M&A、コンサル、事業会社 | 財務諸表を読む力の証明になる |
| 宅地建物取引士 | 不動産、信託銀行、相続・資産承継 | 不動産を含めた資産提案で活きやすい |
| 相続・事業承継の知識 | PB、信託銀行、M&A、士業連携型ビジネス | 富裕層・法人オーナー対応で重要になる |
ただし、資格だけで転職が決まるわけではありません。30代以降の転職では、資格に加えて「その知識を実務でどう使ったか」が重視されます。
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証券会社からの転職先として多い業界・職種
証券会社から転職する場合、これまでの経験を活かしやすい業界と、思い切って職種転換を狙う業界があります。
まずは、主な選択肢を一覧で整理します。
| 転職先 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 同業他社・ウェルスマネジメント・PB | 証券営業を続けたい人、富裕層営業を深めたい人 | 転勤・評価制度・顧客セグメントを確認する |
| IFA | 顧客と長く伴走したい人、転勤を避けたい人 | 報酬設計、顧客基盤、コンプライアンスを確認する |
| 銀行・信託銀行・保険 | 金融分野で専門性を広げたい人 | 証券より年収が下がる可能性がある |
| 不動産・M&A仲介 | 営業力を活かして高年収を狙いたい人 | 成果報酬の変動が大きく、未経験では学習負荷が高い |
| 運用会社・リース・金融機関向け営業 | 販売支援や専門領域に進みたい人 | 採用枠が限られ、専門性や実績が問われる |
| コンサルティング | 課題解決力を磨きたい人 | 資料作成、論理的思考、チームワークが求められる |
| ベンチャー・SaaS・FinTech | 成長環境で職種転換したい人 | 企業フェーズにより年収・働き方の差が大きい |
同業他社・ウェルスマネジメント・プライベートバンク
証券営業自体は好きだが、現在の会社の方針や転勤制度に不満がある場合は、同業他社やウェルスマネジメント、プライベートバンクが有力な選択肢になります。
特に、富裕層営業、法人オーナー対応、相続・事業承継、不動産を含めた総資産コンサルティングの経験がある人は、金融業界内で評価されやすいです。
一方で、同業他社に移ればすべての悩みが解消されるわけではありません。転職前には、次の点を確認しましょう。
- 全国転勤の有無
- 地域限定職の給与水準
- 担当する顧客セグメント
- 収益目標・評価制度
- 取り扱える商品・サービスの幅
- 顧客との長期的な関係構築が可能か
証券営業は好きだが、転勤が難しい場合
証券営業を続けたいものの、家庭の事情やライフプラン上、全国転勤が難しい人は少なくありません。
この場合、地域限定職、転勤なしの同業求人、IFA、外資系PB、地域密着型の金融機関などが選択肢になります。
注意したいのは、全国転勤型の職種は、転勤負担を前提に給与や福利厚生が設計されている場合があることです。転勤なしを優先すると、固定給、住宅補助、賞与水準が変わる可能性があります。
現在と同程度の年収を維持したい場合は、固定給だけでなく、インセンティブや顧客基盤の有無まで確認しましょう。
IFAや外資系PBでは、成果次第で高い年収を狙える可能性があります。ただし、その分、顧客基盤、営業実績、富裕層対応力、専門性が厳しく見られます。
IFAとは、一般に金融商品仲介業者に所属し、証券会社や登録金融機関の委託を受けて有価証券売買の媒介などを行うアドバイザーを指します。
最近ではIFA業界でも、報酬設計や働き方は多様化しています。
- 固定給に加えてインセンティブを設ける会社
- 顧客基盤や見込み客開拓の仕組みを用意している会社
- 完全成果報酬に近い形で高いアップサイドを狙える会社
- 法人オーナー・富裕層向けの総合コンサルティングに注力する会社
IFAを検討する場合は、報酬の高さだけでなく、所属形態、委託先証券会社、取り扱い商品、コンプライアンス体制、顧客情報の扱いまで確認することが大切です。
銀行・信託銀行・保険などの金融業界
証券業界そのものは離れたいものの、金融の専門性を活かしたい場合は、銀行、信託銀行、保険会社などが候補になります。
このときは、「金融業界」と広く捉えるよりも、顧客の資産をどの領域から支援したいかで考えると整理しやすくなります。
- 金融資産:運用、保険、ローン、信託
- 不動産:収益不動産、相続対策、資産承継
- 自社株:事業承継、M&A、資本政策
証券会社では深く経験しにくいローン、信託、保険、不動産担保、相続対策などの知識を得られるキャリアです。
顧客の資産全体を見るうえでは、証券だけでなく、借入、保険、信託、不動産を理解していることが強みになります。
一方で、証券会社と比べて年収が下がる可能性があります。また、ローンや不動産の実務経験がない場合、採用時に慎重に見られることもあります。
未経験領域へ移る場合は、年齢が若いほど育成前提で見られやすい傾向があります。30代以降は、証券での実績に加えて、なぜその分野に移るのかを明確に説明する必要があります。
証券会社で培った新規開拓力、富裕層対応、経営者への提案経験を活かしやすい分野です。
不動産では、収益不動産、相続対策、資産承継の提案力が求められます。M&A仲介では、経営者へのアプローチ、財務理解、案件推進力が重要になります。
一部の上場M&A仲介会社では、提出会社の平均年間給与が2,000万円を超える例もあります。たとえば、M&Aキャピタルパートナーズ株式会社の第20期有価証券報告書では、提出会社の平均年間給与は22,658千円とされています。
ただし、これは同社単体の提出会社ベースの数値であり、M&A仲介業界全体が同じ水準というわけではありません。成果報酬の影響が大きく、ベース給与が下がる、成果が出るまで収入が安定しない、未経験から学ぶ内容が多いといったリスクもあります。
証券会社や銀行などの金融機関を販売先・提携先として、商品やサービスの勉強会、販売支援、同行訪問などを行うポジションです。
証券会社の営業時代に、運用会社や商品提供会社の担当者と接した経験がある人は、業務イメージを持ちやすいでしょう。
直接個人顧客へ販売する立場ではなく、金融機関の担当者を支援する立場になるため、専門性を深めやすい点が魅力です。
一方で、大量採用の職種ではないことが多く、商品知識、金融機関との折衝力、プレゼンテーション力が求められます。
コンサルティング業界
証券会社からコンサルティング業界へ転職するケースもあります。
証券会社で高い営業成果を出してきた人は、目標達成力、顧客折衝力、ストレス耐性を評価されることがあります。ただし、コンサルティング業界では営業力だけでなく、論理的思考力、資料作成力、課題整理力、チームでの実行力が求められます。
業務内容は、顧客企業の課題を整理し、改善策を検討し、実行を支援することが中心です。証券営業のように個人で数字を追う仕事とは異なり、プロジェクト単位でチームとして成果を出す働き方が多くなります。
大手コンサルティング会社では、学歴、論理的思考、英語力、ケース面接への対応力などが見られることもあります。証券会社での成果を、コンサルティング業務にどう活かせるかを具体的に説明することが重要です。
ベンチャー・SaaS・FinTech
ベンチャー企業、SaaS企業、FinTech企業へ転職する選択肢もあります。
証券会社で培った営業力は、法人営業、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス、事業開発などで活かせる可能性があります。
また、年齢が若い場合は、営業だけでなく、営業企画、マーケティング、事業企画などへの職種転換も検討できます。
ただし、ベンチャー業界は企業フェーズによって年収、働き方、評価制度、リモートワークの有無が大きく異なります。成長企業であっても、制度が未整備な場合や、成果への期待が高い場合があります。
証券会社での安定した給与・福利厚生と比較して、何を得て何を手放すのかを冷静に確認する必要があります。
完全な異業種へ転職する場合の注意点
金融業界以外へ転職する場合、採用側は「証券会社での営業経験が、自社でどのように再現できるか」を見ています。
異業種では、金融商品知識そのものよりも、目標達成力、顧客開拓力、課題解決力、学習能力、チームで動く力が評価されます。
一方で、未経験業界への転職は、年齢が上がるほど即戦力性を求められやすくなります。若手であればポテンシャル採用の余地がありますが、30代以降は「なぜその業界なのか」「これまでの経験をどう活かすのか」をより明確にする必要があります。
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証券会社から転職する前に確認すべきこと
転職先を探す前に、まずは自分の悩みと希望条件を整理しましょう。
証券会社からの転職で失敗しやすいのは、「今の会社が嫌だから」と勢いで転職先を決めてしまうケースです。悩みの原因が曖昧なままだと、転職後に別の不満が出やすくなります。
転職理由を4つに分けて考える
転職理由は、次の4つに分けて考えると整理しやすくなります。
| 分類 | 確認すること |
|---|---|
| 会社への不満 | 評価制度、方針転換、顧客セグメント、社内文化 |
| 働き方への不満 | 全国転勤、残業、休日、家族との生活設計 |
| 年収への不満 | 基本給、賞与、福利厚生、インセンティブ、将来の上限 |
| 仕事内容への不満 | 証券営業を続けたいのか、金融の別領域に移りたいのか |
この整理をせずに転職すると、「転勤はなくなったが年収が大きく下がった」「年収は上がったが営業スタイルが合わない」「金融を離れたが専門性を失った」といった後悔につながります。
年収は総額だけでなく内訳を見る
証券会社から転職する場合、年収の見方には注意が必要です。
求人票の年収が同じでも、基本給、賞与、残業代、インセンティブ、住宅補助、退職金制度が異なれば、生活への影響は大きく変わります。
特にIFA、不動産、M&A、外資系金融などは、成果報酬の比率が高い場合があります。高年収を狙える一方で、成果が出ない時期の収入変動も想定する必要があります。
転職時には、最低限ほしい固定年収、許容できる年収ダウン幅、インセンティブで狙いたい上限を分けて考えましょう。
顧客情報・営業秘密の扱いに注意する
証券会社から同業・IFA・金融関連職へ転職する場合、顧客情報や営業秘密の扱いには十分注意が必要です。
前職の顧客リスト、取引履歴、個人情報、社内資料などを持ち出すことは大きなトラブルにつながります。また、前職顧客への接触や勧誘についても、法令・社内規程・退職時の誓約内容を確認する必要があります。
転職先を選ぶ際は、コンプライアンス体制が整っているか、入社後の顧客開拓方法が適切かも確認しましょう。
証券会社からの転職活動をスムーズに進めるサービスは?
証券会社勤務者は、日々の業務が忙しく、働きながら転職活動を進めるのが難しいケースがあります。
求人情報を自分で集める方法と、転職アドバイザーを活用する方法を使い分けると、効率的に進めやすくなります。
求人サイト
求人サイトは、幅広い求人を自分で検索できるサービスです。
希望する業界、職種、勤務地、年収、転勤の有無などで検索できるため、転職市場の相場を把握するのに向いています。
特に、地方勤務を希望する場合、転勤なしの求人を探したい場合、異業種の求人を広く見たい場合は、求人サイトで全体感をつかむとよいでしょう。
一方で、求人票だけでは、実際の評価制度、入社後の顧客基盤、年収の変動幅、現場の雰囲気までは分かりにくいことがあります。
転職アドバイザー(エージェント)
転職アドバイザーは、求人紹介だけでなく、職務経歴書の作成、面接対策、日程調整、条件交渉などをサポートしてくれるサービスです。
証券会社勤務者の場合、忙しくて応募先企業と直接やり取りする時間が取りにくいことがあります。アドバイザーを介することで、面接日程の調整や条件確認を進めやすくなります。
また、金融業界に詳しいアドバイザーであれば、同業他社、IFA、PB、信託銀行、不動産、M&A、運用会社など、証券会社出身者の転職事例を踏まえたアドバイスを受けやすくなります。
ただし、アドバイザーによって得意領域は異なります。金融業界に強いのか、異業種転職に強いのか、ハイクラス求人に強いのかを見極めることが大切です。
求人サイトと転職アドバイザーの使い分け
| サービス | 向いている使い方 |
|---|---|
| 求人サイト | 求人の相場を知る、勤務地や年収で検索する、異業種を広く見る |
| 転職アドバイザー | 非公開求人を知る、職務経歴書を整える、面接対策や条件交渉を進める |
| 両方の併用 | 自分で市場を見ながら、専門的な求人や選考対策はアドバイザーに相談する |
求人サイトだけで転職先を決めるのではなく、まずは市場全体を見たうえで、気になる業界や職種について詳しい情報を集めると失敗を避けやすくなります。
\証券会社出身のエージェントが担当!/
証券会社からの転職は、年収だけでなく悩みの原因から考える
証券会社からの転職先には、同業他社、IFA、ウェルスマネジメント、銀行、信託銀行、保険、不動産、M&A、運用会社、コンサルティング、ベンチャーなど多くの選択肢があります。
ただし、選択肢が多いからこそ、何を解決したいのかを明確にすることが重要です。
全国転勤をなくしたいのか、年収を上げたいのか、顧客と長く関わりたいのか、金融の専門性を広げたいのか、金融業界を離れたいのかによって、選ぶべき転職先は変わります。
また、証券会社での経験は転職市場で評価される一方、転職先では「その経験をどう再現できるか」が問われます。預かり資産、資産導入、収益、顧客開拓、社内順位などを整理し、自分の強みを具体的に伝えられるようにしておきましょう。
転職は、今の悩みから逃げるだけではなく、今後どのような専門性を持ち、どのような働き方をしたいかを考える機会でもあります。年収、働き方、専門性、顧客との関係性の優先順位を整理したうえで、慎重に選択することが大切です。
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出典
金融庁「顧客本位の業務運営に関する原則」(改訂日:2024年9月26日)
金融庁「リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果について(2024事務年度)」(公開日:2025年7月1日)
内閣府男女共同参画局「令和7年版男女共同参画白書 特集 男女共同参画の視点から見た魅力ある地域づくり」
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」(公表日:2025年3月17日)
大和証券「お客様第一の業務運営を実現するための取組事例」
日本証券業協会「金融商品仲介業者」
金融庁「独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)に関する調査研究」
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社「第20期 有価証券報告書」(提出日:2025年12月24日)
日本FP協会「CFP®資格とは?」
日本証券アナリスト協会「CMAとは」

